残せる歯を抜歯するのが
オールオン4と言われましたが?
半分当たってます。半分間違っています。まず、「虫歯が無い、歯周病でない、動かない」などが残せる歯の一般的基準だと思います。この点では全く異論はありません。では、オールオン4では、何故「残せる歯」を抜歯するのかと言いますと、理由が3つあります。
1つ目は「戦略的抜歯」です。歯を残す効果とその費用を計算し、それがインプラントの治療費を超える場合には、「戦略的抜歯」をお勧めします。つまり、1本を残すために装置を分断し、複雑化することによって、インプラントの本数が増えたり、上部構造の費用が増大したり、残すために骨造成や骨移植で費用が増大する場合は、抜歯をして最小の本数のAll-on-4の方が、予知性も高く、経済的効果も大きいという理由です。
2つ目は、ブリッジ(上部構造)の連続性を保ち、美しくしたいからです。一体型のブリッジの方が整合性のとれた美しい歯となるためです。
3つ目は咬み合わせ面の整理です。無歯顎者の多くは下顎前歯が上方に出てきています。そのため、咬み合わせ面が前上がりとなり、噛み合わせた時に(特に前方、側方顎運動時)に前歯の干渉が起き、ほとんどのケースで「虫歯が無い、歯周病でない」歯であっても提出しているため抜かざるを得ません。
オールオン4はブリッジの底の
清掃性が悪いと言われましたが?
オールオン4の例えとして、「入れ歯をネジで固定するような術式」と揶揄されていました。そのため、当初より清掃性の問題は大きな課題でした。
現在はセラミックや高分子材料の発達により、プラークの付きにくさは以前と比べ、格段に改良されております。
また、POICウォーターのような、ブラシの届かない部位の細菌を除去出来る洗口水もあります。
それと、ガイド手術(CT像からコンピューター上で手術のシミュレーションが出来るソフト)により、上部構造まで見据えた診断が出来るようになりました。それにより、インプラントの埋入位置とブリッジの位置を正確に合わせることが可能となり、清掃性の高い上部構造の提供が可能となっています。
インプラント4本では
不安定と言われましたが?
椅子や自動車を想像してみて下さい。3本と4本ではどちらが安定しているでしょうか?
答えは言わなくてもお分かりになりますよね。もし、本数が多い方が安定しているとしたら、世の中の椅子の脚や車のタイヤが8本 10本、となるでしょう。そうならないのは、4本が最小で最大の安定の効果を出すからです。
但し、骨質や骨量によっては本数が増える場合もあります。
骨を削ってまでインプラントをする意味が無いと言われましたが?
オールオン4は従来のインプラントに対する考え方と真逆です。では、なぜ骨を削るかというと、一つは審美的に「ブリッジの縁が見えないように」するためです。笑った時にブリッジと歯肉の境界線が見えたら興醒めです。そのためリップライン(上唇の縁)までは骨を削合します。
もう一つは個々のインプラントを安定させるためにインプラントの直径より幅のあるところでインプラントを埋入し維持させるためです。これが顎堤の先の薄い部分を落とす理由です。
オールオン4では骨は削合(落とす)するのが原則です。
オールオン4は低侵襲ではない、
と言われましたが?
そもそも日本人のケースでは、残存歯があり、それらを抜歯してからのオールオン4がほとんどです。フラップレス手術(切らない手術)であっても、多少なりとも侵襲はあります。抜歯の本数が多かったり、ザイゴマ(頬骨に埋入する手術)では、必ず腫れはあります。但し、痛みは静脈内鎮静法や点滴で気にならない程度に抑える事が可能です。
腫れは、例えるなら下顎の埋もれた親知らずの抜歯程度です。約2日間位と考えて下さい。